
みなさん、こんにちは!
薬膳八百屋ファルマルシェです。
第3回目は二十四節気「芒種(ぼうしゅ)」。
稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く時期を指し、雨の日が多くなってくる季節です。
そんなジメジメの季節にオススメの情報をお届けいたします!!
この記事の目次
芒種の養生法:水分代謝を上げる
みなさんは水分代謝はいいほうですか?
水分代謝が落ちると、様々な不調があらわれます。
例えば、上半身の不調は「重さを伴う頭痛」「食欲不振」「気分の悪さ」「疲労倦怠感」、
下半身のトラブルであれば「足のむくみ」などがイメージしやすいでしょうか?
「重だるい!」を感じたら、水分代謝が落ちているかもしれません。
水分代謝に関わっている臓器は中医学では「脾(ひ)」「肺」「腎」と考えます。
「脾」は全身に必要な栄養を蓄えて分配する役割を果たし、「湿(しつ)」に弱いとされています。
ここでいう「湿」とは「余計な水分」を指し、糖分やアルコールの取りすぎ等により溜まりやすくなります。
余計な水分を蓄えた栄養は上半身には行き渡りづらく(雨の日に湿った段ボールを階段で4階まで運んでみるのを想像してみてください)、下半身に溜まっていきがちです。
これが、下半身のむくみや「下半身太り」につながります。
「肺」は一見すると水分代謝に関わりがないように思えますが、「呼吸」と深いつながりがあります。
息を吐くと毛穴が開き、息を吸うと毛穴は閉じます。
呼吸(=毛穴の開閉)に伴い、水分も体の外側↔︎内側に向かって移動します。
(喘息とアトピーがセットで起こりやすいのは「呼吸が浅くなることにより皮膚が潤わないため」ということが原因の一つとしています。)
深く、ゆったりとした呼吸を続けることで、水分代謝も上がるのです。
「腎」と水分代謝の関わりは一番イメージしやすいかもしれませんね。
尿の生成も担う「腎」ですが、腎が衰えると水分代謝もうまくいかなくなります。
このようにメカニズムから考えてみると、「水分の摂取量が足りないのかな?」「運動不足かな?」など、日頃原因として思い当たることが裏付けされ、より自分にあった方法でむくみが解決するかもしれません。
水分代謝を上げる食材

ハトムギ、空豆、きゅうり、冬瓜、とうもろこし、なす、スイカ、ぶどう、あさり、のり、わかめ、鴨肉、ウーロン茶、コーヒー、緑茶など
今回は旬の食材でもある「空豆」について詳しくご紹介いたします。
空豆の薬膳的な効能

一般的に「豆」は水分代謝を上げる代表食材。
タンパク質をとりながら水分代謝も上げることができるとは、なんだか得した気持ちになりますね。
その中でも空豆は、さらに「気」も補ってくれるというとても優れた食材です。
空豆の性味
「性味(せいみ)」とは「からだに及ぼす作用」のことで、空豆は「平 / 甘」。
体を温めたり冷ましたりなどの温度変化の作用は小さく、補ってくれる食材です。
また、カリウムも豊富なことから、水分代謝を上げる効果があることも納得です。
空豆の選びかたは?
空豆を選ぶ時のポイントは①色 ②形状 ③産毛 です。
- 色
鮮やかな緑色で、筋の部分が茶色くないもの(空気に触れることで酸化した結果が茶色への変色) - 形状
ふっくらと弾力があり、重さを感じるもの - 産毛
さやの表面にうっすらと白い産毛が生えているもの
以上の3点のポイントを押さえているものは鮮度の高い証です。
空豆が長持ちする保存方法は?
「おいしいのは3日間」だけと言われるほど、鮮度が大切な空豆。
なるべくその日のうちに食べてしまいたいですが、そうもいかない場合の保存方法を確認しましょう。
【冷蔵庫で保存する方法】
空豆は乾燥に弱いでため、湿らせたキッチンペーパーにくるみ、ポリ袋などに入れて保存します。
この時のポイントは「さやから出さない」こと。
さやから出してしまうと、みるみるうちに酸化し、黒ずんでしまいます。
ですが、「おいしいのは3日間」だけですから、なるべく早めに使い切りましょう。
【冷凍庫で保存する方法】
それでも食べきれない場合は、冷凍庫での保存がオススメです。
冷凍する場合はさやから出し、黒い筋の部分に切れ込みを入れ、冷凍用保存袋に平らに並べて保存します。
筋に切れ込みを入れたあと、さっと塩ゆでして薄皮をむいた上で冷凍保存すると、さらに使いやすく色味もきれいです。
この場合の保存期間は3〜4週間です。
空豆のオススメの調理方法は?
①おいしく茹でる
- 空豆をさやから出し、黒い筋の部分に切れ込みを少し入れます(2cmほど。薄皮をむきやすくします)。
- 鍋に水と塩を入れ、沸騰させます。
このとき、塩の量は水1Lに対し20g - 1.で準備した空豆を投入し、2分ほど茹でます。
- ざるに上げて冷まします。
②電子レンジを使う
- さやから豆を取り出します。
- 水で洗い、水気があるまま耐熱皿に重ならないように並べます。
- ラップをふんわりかけ、1分半〜2分加熱します。
③焼く
さやごと焼きます。さやに焼き目がついたら食べごろです。
薄皮はむいて、シンプルに塩で味付けがオススメです。
グリルがある場合はグリルが焼きやすいですが、ない場合はフライパンやトースターでも◎
④煮る
煮る場合は最後に投入し、煮込まないほうが色が綺麗に出ます。
この他にも「揚げる」「炒める」など様々な調理方法が可能です。
いろいろお試しください。
水分代謝が悪くなり始めた時の生薬「蘇葉」
日本の食卓には欠かせない薬味の一つ「蘇葉(しその葉)」。

刺身の下に敷かれているのは、単に彩りを美しく見せるだけでなく、魚の食中毒を防ぐ意味もあります。
「水分代謝を上げる」生薬の代表ではありませんが、じめじめした季節に欠かせない生薬の一つです。
蘇葉の性味・効能
【性味】辛 / 温
【効能】解表・理気・解魚毒・安胎
(発散させ、気をめぐらせ、魚による食中毒を和らげ、妊娠中の胎動不穏を静止させる)
基原植物
シソ科の紫蘇の葉。
アントシアン系の赤い色素・シアニンの有無によって赤ジソ系と青ジソ系に分けられます。
漢方的な使い方
- 胃腸型の感冒に。高齢者などが反復症状を繰り返す場合人参などと組み合わせて用います(参蘇飲)。
- 心身症、神経症の諸症状に。喉の閉塞感、食欲不振等に半夏などと配合します(半夏厚朴湯)。
- 魚介類による食中毒や蕁麻疹に。生姜をプラスして用います(香蘇散)。
- 胎動不安などに。食欲がなく、腹部が張って痛む場合などに当帰・芍薬などど用います(紫蘇和気飲)。
民間的な使い方
日本では「梅干し」を漬ける際に使いますね。
当たり前に食べていますが、世界からみるとかなり独特な使い方のようです。
紫色の葉(赤ジソ)に含まれるアントシアン色素は梅のクエン酸などで酸化され、赤紅色に変化するので、シソ入りの梅干しは赤いのです。
薬膳八百屋では20g300円からご用意
このように、紫蘇には穏やかな「発散」の力があるため、体の中に水分がたまりやすいジメジメした時期にオススメです。

温性のため、暑さで冷たいものを取りすぎてしまった時の回復アイテムとしても◎
めぐりを良くした結果、水分代謝も上がるイメージでしょうか。
漢方的な使い方①では人参、③では生姜をプラスしていますが、紫蘇葉と合わせてどちらも薬膳八百屋で量り売りをしています。
オリジナルブレンド茶としてもご用意できますので、お気軽に店員にご相談ください。
「梅蘇甘子湯」のご案内
大人気の漢方茶シリーズ「梅蘇甘子湯(ばいそかんしとう)」。

長いこと品切れが続いていましたが、春から販売を再開しています。
原材料は「烏梅(うばい:梅を燻製にしたもの)、紫蘇葉、甘草、山査子(さんざし)」と、どれも胃腸をサポートするものばかり。
梅の程よい酸味が食欲をそそります。
しかも、燻製にしてありますので、どことなく「出汁」を思わせる香りもします。
以前、お客さまから
「おかゆの味付けに使っています」
というお声をちょうだいしました!
甘草の割合が少なくなり、ティーパックに紐がつくなど、密かにリニューアルの部分も。
「よりお手軽にお茶が飲みたいなあ」というかたはぜひご利用ください。
イベント情報
「第63 回つまずかない漢方講座:桂枝湯」開催しました

てらす灸庵で毎月第4日曜日にご好評いただいている、代表青木満による漢方講座。
5月29日は「桂枝湯(けいしとう)」を学びました。
桂枝湯は『傷寒論(しょうかんろん)』の一番最初に出てくる漢方薬です。言うなれば最初の一歩。基本のキの漢方薬。
その為、桂枝湯に含まれる生薬もまた非常に重要かつ、よく考えられた組み合わせです。
今回は桂枝湯を構成する5種類の生薬から「甘草」「大棗」「生姜」の組み合わせを徹底解説することで、漢方薬服用における要点を垣間見ることができました!
薬膳や日常生活でも役に立つ、そんな回でしたね!!

次回のつま漢は6月27日10時~
内容は「桂枝去桂枝加茯苓白朮湯にみる薬対」です。
生薬の味をみ、香りを聞き、五臓六腑をもって学んでいきましょ~
LINEから「6/27つまずかない漢方講座参加します」とメッセージください。

6/11(土)19時より「蘇葉であそぶ会」やります
毎月お楽しみいただいている「生薬であそぶ会」ですが、今月も第2土曜日である6/11の19時より開催いたします!
今回取り上げる生薬はこちらの記事でもご紹介した「蘇葉」。
食べたりジュースを作ったり、いろいろ遊びましょう!
もちろん蘇葉のお土産付きでご用意いたします。

写真は前回「金銀花であそぶ会」の様子です。
おひとりさま、お友達同士、お子様連れ、どなたでもご参加いただけます。
お申し込みはLINEから!お待ちしております。

おまけ:だいこんちゃん日記〜せせらぎマルシェに出店しました〜
こんにちは!だいこんちゃんです!!
毎月第1土曜日は、多摩川駅前の「せせらぎ館」での「せせらぎマルシェ」に出店させていただいています!
だいこんちゃんの役割は看板娘ならぬ「看板だいこん」です!えっへん!

このイベントでは薬膳八百屋のオリジナル商品をはじめ、オススメ商品をオーナー青木が自ら説明する、というなかなかスペシャルな内容なんです!!
「バス停から見えて気になっているけど、なかなか店舗は入りづらいなあ」というかた、チャンスです!
オーナー青木は薬剤師でもあり、鍼灸師でもあります。
日頃店頭には立たなくなりましたが、この日は青木と話せます。
ぜひ、お散歩や乗り換えついでに「せせらぎマルシェ」にもお立ち寄りください。
あと、だいこんちゃんと写真撮ってください!!
お待ちしています!!!