
みなさん、こんにちは!薬膳八百屋です。
今回ご紹介するのは二十四節気「小暑(しょうしょ)」の過ごし方です。
夏至を境に昼間の時間がだんだん短くなっていきますが、暑さの本番はこれからです。
身に付けるものや身体の中に取り入れるものをうまく工夫して、この夏も乗り切ってまいりましょう!
この記事の目次
小暑の養生法「暑さによる不快感を取り除く」
さて、みなさんは「暑さによる不快感」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
「喉の渇き」「肌のベタつき」「汗のにおい」など、さまざまな不快な状況がありますね。
「暑さ」とはただ「熱感」を感じるだけでなく「湿度」の影響を存分に受けるのが特長。
中医学では熱を帯びた湿気のことを「湿熱(しつねつ)」と呼び、暑さによる身体の不調を「暑邪(しょじゃ)」と表現します。
「湿」については6月6日リリースの「芒種の養生法」を読んでいただくことにして、今回は熱について少しお話ししてみたいと思います。
身体の中に熱が発生すると、共通して現れてくるのが「色」と「におい」です。
例えば「黄色い痰」「黄色い鼻水」「色の濃い尿」など、黄味を帯びたり、においがあります。
このような症状が現れてきたら身体の中に熱が溜まっている証拠。
暑い夏に発汗するのは体内の熱をうまく逃すための生理機能ですが、においを感じるのは熱がこもっているから、とも考えられますね。
ここに「湿度」が含まれていますから、「ベタつき」も感じるわけです。
私たちの身体は食べたものから作られていますが、もちろん汗も食べたものから作られています。
夏の汗トラブルにお悩みの方は「芒種」や「夏至」の養生法も参考にしながら、ぜひサラサラの汗をかける体質を目指してまいりましょう!
暑さによる不快感を取り除く食材

インゲン、緑豆もやし、トマト、きゅうり、ゴーヤ、すいか、パイナップル、メロン、レモンなど
「暑さ」=「湿熱」による不快感ですので、「熱感」「口の渇き」「汗」などを取り除きたいところ。
つまり「熱を冷まし」「水分を補う」というのが基本的な養生です。
さらに、湿気によって食欲もなくなりがち。
冷たいものを取りすぎない等、お腹を守るための基本的な食生活も大切です。
身体の熱をとる食材をうまく使って、効果的に熱を冷ましていきましょう。
今回はウリ科の食材の中でも特になじみのある「きゅうり」について詳しくご紹介いたします。
きゅうりの薬膳的な効能
熱を冷まし、水分を補い、余計な水分を尿として出します。
まさに小暑のテーマにぴったりな食材です!
きゅうりの性味
「性味(せいみ)」とは「からだに及ぼす作用」のことで、きゅうりは「寒 / 甘」。
身体の熱をしっかり取り、水分を補ってくれます。
身体を冷やす効果がとても高く、この季節にオススメではありますが、お腹が冷えやすい方は食べ過ぎに注意しましょう。
日本には平安時代に伝えられ主に生食の文化がありますが、中国では煮たりして火を加えるのも一般的なのだとか。
なお、火を加えることで熱をとるよりも利尿作用の方が強まるそうです。
おいしいきゅうりの選び方は?
選び方のポイントは①色②形③みため④重さの4つです。

①色は濃い緑色のものを。黄色味があるものは時間が経っています。
②形は曲がっていても太さが均一のものが理想です。下膨れになっているものはそこに水分が溜まっており、味にもムラが出てきています。
③みためはハリツヤのあるものが新鮮です。棘があるものはより鋭い方を選びましょう。
④持ってみて重さを感じるものが良いでしょう。軽いものは中がスカスカかもしれません。
長持ちする保存方法は?
旬の食材は袋詰めにされて安く売られているものも多いです。
今回も長持ちする保存方法を確認しておきましょう。
【冷蔵保存の場合】
身体の熱をしっかりとり水分を補ってくれるきゅうりですが、きゅうり自身は寒すぎる場所や湿気が苦手です。
そのため、
・冷蔵庫の野菜室やドアポケットなどに
・水分をしっかりとって立てて保存
が基本の保存方法です。
キッチンペーパーや新聞紙などで包んであげるとさらに良いでしょう。
【冷凍保存の場合】
冷凍保存の場合はすぐに使えるよう、下処理が必要です。
薄い小口切りにして、塩で軽くもみ、水気を絞ったら冷凍保存袋に平らに入れて、空気を抜いて冷凍しましょう。

この状態で約1ヶ月冷凍保存が可能です。
「平らに入れる」というのがポイント。
解凍時間が短くなり、さらに使いやすくなりますよ!
オススメの調理方法は?
使い勝手の良いきゅうりですが、たまには生薬と合わせて、みためにも美味しい薬膳を作ってみましょう。
◆◇◆きゅうりと生姜の甘酢漬け◆◇◆
①きゅうりは手でちぎり、生姜は薄くスライスします。
②リンゴ酢、はちみつ、塩を合わせ、好みの味の甘酢を作ります。
③①と少量の枸杞を漬けて完成!
「酢」は以前の「生薬であそぶ会」でもご紹介しましたが、「収斂(しゅうれん)」といって「キュッと引き締める作用」を持ちます。
暑さで疲れが出たり、汗が止まらない方にもオススメの一品です。
はちみつと枸杞が気血を補ってくれます。ぜひお試しください!
また、枸杞は店頭やネットでも販売中です。ご利用ください。

生薬「熊笹(くまざさ)」
さて、今年の小暑は7月7日、そう、七夕です。
子供の頃に笹の葉を飾った、という方も多いのではないでしょうか。
今回は笹にちなんで「熊笹」という生薬をご紹介します。

「巻いて」食品を長持ちさせる
「笹を巻く」と聞いて思い浮かぶのが「笹だんご」や「ちまき」「笹寿司」などではないでしょうか。
戦国時代には携行保存食として用いられていたと記述のある書物もあるようです。
「抗菌効果」を持つことはこのように経験的に知られていましたが、近代の研究で笹に含まれる安息香酸の作用ということがわかってきました。
熊笹の性味・効能は?
【性味】甘淡 / 寒
【効能】清熱(熱を冷ます) 等
熊笹の基原植物は?
イネ科のチシマザサなどのササの葉。
熊笹は「隈笹」とも書き、笹の葉が秋から冬に枯れて白く隈ができる、ということに由来します。
(また、実際に熊は笹を好んで食べます)
熊笹の漢方的な使い方は?
胃潰瘍、胃炎、歯槽膿漏、口内炎、口臭などに用いられています。
また、近年の研究では成分である多糖体に制癌作用がある、と報告されているものもあるようです。
熊笹の民間的な使い方は?
健胃を期待したり、糖尿病や高血圧の予防を目的にお茶として飲まれることもあります。
また、現代では笹の葉をミキサーにかけた青汁や、何度か煮詰めるように煎じた「クマ笹エキス」などがあります。
薬膳八百屋では30g300円からご用意
薬膳八百屋でも熊笹をご購入いただけます。

単味でお茶としてもお楽しみいただけますが、「笹の青い香りが苦手…」というかたは、家にある緑茶に少し足すだけで「熱を冷ます薬膳茶」の完成です。
さらに「立夏の養生法」でご紹介した金銀花も加えると、香りもほんのり甘く、飲みやすく仕上がります。
店頭に立っていると「この葉っぱはどうやって使うの?」とよくご質問をいただきますが、このようにお手持ちのお茶に少し足すなど、簡単に使い始められます。
ぜひお試しください!
オリジナル薬膳茶「甜笹金泪湯」のご紹介
さわやかな香りの熊笹ですがちらほら「香りが苦手…」というお声をちょうだいします。
上記のように手軽にブレンド出来るものではありますが、飲みやすくブレンドし、さらにティーパック詰めにしたのがオリジナル薬膳茶「甜笹金泪湯」です。

甜茶ベースですので甘みがあり、金銀花と香り豊かなルイボスティーもブレンド。
花粉症などのアレルギーの炎症が起こりやすい方に特におすすめです。
15個入りのお得サイズと3個入りのお試しサイズをご用意。
3個入りはプレゼントにされるかたも多いようです。
インターネットからでもご購入いただけます。
ぜひこちらも合わせてご利用ください。
イベント情報
6/26(日)第65回つまづかない漢方講座「桂枝去桂枝加白朮茯苓湯」作りました
「けいしきょけいしかびゃくじゅつぶくりょうとう」と読み、桂枝湯から主人公の桂枝を抜いて白朮と茯苓という生薬を追加する、という不思議な漢方薬。
ハンバーガー屋さんで「ベーコンレタスバーガー、ベーコンとレタス抜きで、ピクルス追加でお願いします!」と注文するかのような方剤ですが、そこにはきちんと意味がありました。
こういった方剤の名称に込められた意味や作られた過程をきちんと理解しておくと、「ちょっと風邪っぽいかな?漢方薬飲もうかな?」とドラッグストアに行った時に、パッケージに書かれたキャッチコピーに惑わされることなく、自分で選ぶことができます。
さて、「つまづかない漢方講座」は理論だけでなく、実践も充実しています。
今回も原材料となる生薬を一つずつブレンドし、煮出して試飲しました。

みなさん感覚や好みはそれぞれですが「最初甘いけど後味が苦い」というのが共通の感想でした。
単味で味見もしながら混ぜるので「これをブレンドして煮出すと、最後はこの苦味が残るのか!」など、実戦ならではの発見もあり、毎回盛り上がりますね♪
次回は7/24(日)「白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)」です。
名前から想像すると、「身体を温める人参と冷やす方剤をブレンド?」とこれも不思議な感覚ですね。
生薬は単体で得られる効果もあれば、組み合わせる生薬によって力がパワーアップしたり、穏やかに作用したり、効き方に変化が現れてきます。
それを「薬対(やくつい)」と言いますが、この日は「石膏・知母(ちも)」の薬対もご紹介!
寝苦しい夏にオススメの方剤です。ぜひふるってご参加ください。
7/9(土)「くまざさであそぶ会」やります!
毎月第四金曜日に開催している生薬サークルですが、今回も第二土曜日での開催となります。
今回のテーマは、このブログでもご紹介した「くまざさ」です。
7/7は小暑であり、七夕でもあります。
せっかくですので、今回は「ささ」をテーマに、熊笹茶を飲んだり、笹巻きのちまきを試食したり、笹を飾って短冊も書こうかな?と企画しています。

写真は前回の「蘇葉であそぶ会」の様子です。店頭やLINEからお申し込みいただけます。
「今月のあそぶ会参加します!」とお気軽にメッセージください。
7/22(金)薬膳カレーイベント開催します
お客さまから熱いご要望をいただき、代表青木による薬膳カレーイベントを開催します!

青木が効果を説明しつつ、スパイスを炒めるところからスタートする本格調理です。
「ただ食べに来ました」もウェルカム!「調理過程全部メモ取らせてください!」な方も大歓迎です。
使用するスパイスはもちろん薬膳八百屋で全て揃いますよ♪
蒸し暑い夏を乗り切る、薬膳八百屋オリジナルカレーをぜひお試しください!!
おまけ:だいこんちゃん日記〜カカオハスクティー入荷しました〜
こんにちは!だいこんちゃんです。
待望の!カカオハスクティー入荷しました。

「ハスク」って「薄皮」って意味なんだそうです。オーナーに教えてもらいました。
てんちょも初めてだったみたいで、早速二人で味見しました!

「思ったより油分が少ないね!」とてんちょ。
実際に飲んでみると、確かにお店で買うココアよりも酸味があってさっぱりしています!
「ポリフェノールも豊富」だそうで、夏に熱々のココアは難しくても、カカオハスクティーなら飲めそう!
てんちょは「氷入れてもおいしいんじゃない?」「牛乳入れたら薄く感じるかな?」とさっきから落ち着きがないです笑
みなさんもぜひオリジナルの楽しみ方を研究してみてくださいね!
だいこんちゃんでした☆